新しい弁証法、“複弁証法”
定理1
弁証法において、矛盾対立を特定の比と解釈し、アウフヘーベンを足し算と解釈し、なおかつ、反と合から新しい反がアウフヘーベンされるとするなら、弁証法の矛盾対立は黄金比になり、正・反・合のなす系列は公比が黄金比の等比数列になり、正と反はその奇数項と偶数項になる。
[証明]
弁証法とは、正と反の矛盾対立から合が現れ、その合は新たな正になって、また新たな反が現れ……というものである。
その系列は、正、反、合(正2)、反2、合2(正3)、反3、……のように表される。
これをさらに、a1,a2,a3,a4,a5,a6,……と表すと、結局、anはnが奇数のとき正で偶数のとき反であること、an+an+1=an+2,そして、an:an+1=an+1:an+2であることが分かる。後の二つの式は明らかに黄金比の定義式である。よって、これですべて証明されたも同然である。 □
筆者は、定理1の形式、すなわち、正と反だけでなく反と合も矛盾対立して新しい反を生み出す、そのような形式の弁証法を複弁証法(bidialectic)と呼んでいる。
公式化すると、合=正+反は言葉の意味より明らかとして、 正 : 反 = 反 : 合 と、簡潔に表すことができる。
ささやかな応用
オイディプス王の神話は複弁証法的である。
Laius + Jocasta = Oedipus であり、かつ、 Laius : Jocasta = Jocasta : Oedipus.
付け加えると、Jocasta は Oedipus に対して、自分自身に対する Laius の位置にいる。すなわち、Jocasta は「ファリック・マザー(phallic mother)」である。